両親のどちらかにでも吃音障害がある場合、自分の子どもにも
それが遺伝によって受け継がれてしまうのではないか、
と心配される方が殆どだと思います。
特にお母さんからすれば、子どもと過ごす時間が
圧倒的に多いため、思い悩むのも当然です。
確かに、吃音に関する近年の研究報告によると、
幼児期のどもりについては吃音症状を発症する遺伝子の存在が指摘されています。
また、ある臨床データによると、両親や兄弟など近い血縁者にどもりがある場合、
吃音の発症率は通常の3倍の確率だそうです。
しかし、一方では幼児期の言語習得は周囲の話し声に大きく影響を受けるため、
最も身近な家族に吃音症状があった場合、それも覚えてしまい、
結果としてどもってしまうのではないか、とする説もあります。
ただ、遺伝をどもりの原因として考えた場合、最も似通った遺伝子を持つ一卵性双生児においては、
症状の出現率が更に高いと言われていますから、やはり遺伝による発症は無視できないと言えるでしょう。
ただし、兄弟であれば家庭環境や生活環境、生育環境はほぼ同一であるため、
遺伝だけが原因であると一概に決め付ける事もできません。
吃音障害については、今後も多角的かつ慎重な研究が求められる分野ですね。
現時点では吃音の原因すら完全に解明されていないのですから、
いずれ原因が特定されるようになれば、さらに適切な治療と指導が期待できるでしょう。
また、幼児期のどもりに関しては、9割程度が成長過程において解消されると言われていますから、
あまり気に病む必要はないと思います。